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針灸学[手技篇]【序文】

自序

 針灸学は中国医薬学の貴重な遺産の1つであり,その源は上古の時代にさかのぼることができ,悠久の歴史を有している。針灸はその適応症が広く,効果は顕著であり,また操作が簡便で容易に習得でき,経済的かつ安全性が高いという特徴があり,非常に多くの人から歓迎されている。
 この中医伝統針灸医学の継承と発揚を行い,またより多くの医療従事者が針灸医術を習得して健康事業に寄与するならば,人類に大きな幸福をもたらすことができる。
 私は先父毓琳公の気功,針灸真伝および先父の中国中医研究院針灸研究所第3研究室主任時の遺作,私自身の40年にわたる針灸臨床,研究,教育の経験にもとづき,さらに前人の針灸各家手法や先進的な経験を吸収し,1978年と1983年にそれぞれ『針灸集錦』と『子午流注と霊亀八法』を著し,中国甘粛人民出版社から出版した。これらは1984年8月に北京で開催された中国針灸学会第2回針灸針麻酔学術討論会において,国内外の専門家から重視された。
 このたび,学校法人・後藤学園学園長である後藤修司先生および東洋学術出版社社長山本勝曠先生の温かい友好協力および御提案にもとづき,手技に関する本著を日本において出版するはこびとなった。ここでは主として伝統的な針灸手法,とりわけ焼山火,透天涼をはじめとする伝統的手法の具体的操作を写真と図説により紹介し,さらにその適応症について紹介した。臨床において多くの針灸従事者の参考にしていただきたい。
 なお執筆,編集にあたっては兵頭明先生および厲暢女史の熱心な協力があった。ここに心より感謝の意を表す。

鄭 魁 山
1989年9月 甘粛中医学院にて



序文

 中国は針灸の発祥地である。2000年以上も前に中国の古代医学家は,『黄帝内経』,『黄帝三部針灸甲乙経』を世に著し,中国医薬学,針灸学の理論的基礎とその基本的方法を確立した。これは針灸の伝播,研究の典籍とされている。針灸は今日世界人民に受け入れられており,世界医学の構成部分となることにより,いっそうの発展をとげている。
 数千年来にわたる歴代の医学家の長期にわたる医療実践により,豊富な臨床経験と理論知識が蓄積されている。針灸学術の発展につれて,その理論と経験は,系統的に整理,発掘,向上がはかられなければならない。甘粛中医学院の鄭魁山教授は,曾祖父から4代にわたり伝承・伝授されてきた針灸医療の貴重な経験と自身の多年にわたる経験にもとづいて,手技に関する本著を著している。その内容は非常に豊富であり,資料は詳細で確実であり,さらに図説を加えている。また家伝手法の密なるものをも紹介している。本著の出版は針灸学術の発展および針灸による臨床効果の向上,さらには医学における国際交流の促進のすべての面において,必ずや大きな影響をもたらすことであろう。とりわけ本著の内容は臨床教育ならびに科学研究にとっても参考となり,中国伝統針灸の大いなる発揚に貢献するものである。
 中医針灸は,今日まで中華民族の健康ならびにその繁栄に対して重要な作用を果たしてきたが,今こそ針灸が世界人民の健康ならびに幸福のために貢献することを心より希望する。

胡 煕 明
1989年12月12日