▼書籍のご案内-序文

写真でみる脳血管障害の針灸治療

まえがき

 中風-脳血管障害の予防と治療は,中国のみならず世界の医学界で大きな課題とされています。本病は人類の健康を多大に脅かす疾病の1つであり,死亡率ならびに後遺症を残す確率は現在でも非常に高いものとなっています。地球上での本病の発症は1日数十万人とも言われており,本人およびその家族に極めて深刻な苦痛をもたらしています。
 したがって本病の予防ならびに治療に対する研究は,人類およびその家庭の切実な要望であり,また私ども医療スタッフの大きな課題でもあります。この点から出発して,私は1973年から中風病の臨床研究ならびに発症原理について20年にわたって研究を行い, 一定の独自の成果をおさめてきました。この治療法の大きな特徴は針灸を主な手段としたところにあり,治療研究およびそのメカニズムの研究において,驚くべき突破口を切り開くことができました。これは中風病の治療と予防という課題に対し,まったく新しくかつ有効な道を開くものであります。
 本書では,私どもが行ってきた「針による中風治療-醒脳開竅法」の全臨床研究過程とその内容,また実験データを紹介しております。数年来,私はこの独自の治療法を日本の医療専門家に紹介してきましたが,この治療法により日本国のより多くの中風患者に福音をもたらすことができれば,このうえもなく光栄であり,喜ばしいことであります。
 最後に,本書中には意図したところが十分にはたされなかった点が多々あろうかと存じますが,御一読の上,御批判,御教示をいただければ幸いです。

著者 石 学 敏
中国,天津にて 1991年3月15日