▼書籍のご案内-序文

針師のお守り 針灸よもやま話

まえがき

 本書は過去十数年にわたって、雑誌『中医臨床』に掲載してきた「針灸よもやま話」を『中医臨床』創刊二十周年を期して、一冊にまとめたものである。
 「針灸よもやま話」は『中医臨床』の埋草的なものとして、とかく理論的で堅くなりがちな誌面に対し、新聞の四コマ漫画のように一片の清涼剤にでもなればと思って書きはじめたものである。字数はなるべく一ページ(一五〇〇字前後)に納まる程度とし、その時々に思いついたテーマに対し、かなりくだけた表現と内容で論を展開している。
 文章自体は稚拙であっても、本書の内容は誰かの模倣ではなく、すべて筆者のオリジナリティであることを自負している。したがって、針灸理論の一般常識とはかけ離れた持論が展開されている部分もあるが、本書を一読していただければ、そこに筆者の針灸師としての視点をご理解いただけるものと推察する。
 本書の上梓にあたっては、内容別に分類する意見も寄せられたが、内容に分量がなく、系統だっているわけでもないので、筆者の意向で『中医臨床』の掲載順とした。読者諸氏が目次から面白そうな所を選んで、アトランダムに読んでいただければ、それで十分である。
 本書に登場する石山淳一先生と稲垣源四郎先生が筆者と同じ高校(市立一中=都立九段高校)の卒業生であることを後日、知った。不思議なご縁である。

浅 川 要
二〇〇〇年三月末日
東京白山にて